中田宏君の挑戦

上甲 晃/ 2002年03月26日/ デイリーメッセージ

選挙の激励に出かけて、まさか街頭宣伝車の上に引っ張り上げられるとは思わなかった。しかも、場所は、横浜市内でも一番人通りの多い、駅前西口広場。いつもは、人の街頭演説している様子を横目に見ながら、「うるさいな」としか思わなかったのに、今度は、私がうるさがられる立場にたつ羽目になった。

横浜市長選挙に出馬した松下政経塾卒業生の中田 宏君の選挙応援には、松下政経塾のOBのほかに、『青年塾』の諸君も全国各地から駆けつけてくれている。その応援団を激励するつもりで、私も最初は、横浜駅西口の雑踏のなかにいた。松下政経塾の卒業生である衆議院議員の野田佳彦君と、同じく卒業生の海老根靖典君と並んで、街頭演説を聞きながら、選挙情勢について情報交換していた。

そのとき、海老根君が、「みんな同じような話ばかりで、聴衆も飽きてきているようだから、上甲さん、あなたが松下政経塾時代の話をしてくださいよ」と言う。藪から棒の話に、私は辞退した。しかし、海老根君は引き下がらない。それどころか、街頭演説を取り仕切っている横浜市会議員に私のことを話している。もう後に引けない。致し方なく、マイクを握ることにした。

そこへ、前の出雲市長で、衆議院議員の岩国哲人氏が駆けつけた。司会者が、「お二人とも、街頭宣伝車の上に登ってください」と促す。私も、街頭宣伝車の上に立つ。大勢の聴衆が、当然のことながら、こちらを向いている。日ごろは、テレビでしか見ないアングルから、聴衆を見下ろすかたちになる。岩国さんのあと、私はマイクを握った。「私は、いかなる強力な相手であっても、正義感から、また怒りから挑戦していく若者を支持します。若者が、勝てるか勝てないかといった勝算を読んで立つのを好まない。若者が、自分の損得計算で物事に処することを好まない。ほとんどの政党が、現職に与党として相乗りすることは、市民のためにならない。しかし、誰も、勝算がないからと立たない。中田 宏君は、勝算があるから立つのではない。勝算があるかないかではなく、市民のためになるかならないかの立場から、怒りをもって立ち上がったのである。これは日本の政治を変える重要な意味をもつ選挙である。ぜひ横浜から日本を変えていただきたい」と訴えた。

私の話の途中で、中田宏君が現れた。聴衆の歓呼の声に応えながら、今度は、彼が立って、演説をした。「天下り20年、市長在任16年、ハコ物行政。それを否定する戦いである」と熱く問い掛けた。

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