十期生を迎えて
『青年塾』第十期生を迎えての入塾式である。
この日の朝、埼玉県大宮市のホテルを出て、岐阜県瑞浪市に向かった。東海道新幹線の中で、 一日から十七日までのデイリーメッセージがすべてそろったことを確認して、ほっと一息ついて窓のブラインドを上げたら、青い空を背景にして、くっきりと富 士山が見えるではないか。思わず携帯電話を取り出して、白い雪が日に映えている富士の姿をカメラに収めた。そしてしみじみと、「これから一年間、第十期生 と共に切磋琢磨して、一年後再びこの富士山の下で出発式をするのか」と思うと、力が沸いてきた。
今日は、名古屋で一つ講演をした後、瑞浪に向かう。朝から、どんな話をしたら良いか、構想を練ってみた。
1.主人公
『青 年塾』では、あなたが動かない限り、何も動かないことを肝に銘じていただきたい。例えば、研修スケジュールの作成、会場の手配、下見、参加者への案内、講 師との折衝、お礼状書きなど、研修に関するすべてのことは、あなた方がやらなければならないのです。私は一切のお膳立てをしません。それは、諸君に、『青 年塾』の゛主人公゛になっていただきたいからです。また、『青年塾』に参加したら、「何か教えてもらえるだろう」という受身の姿勢も克服していただきた い。「参加した限りは何かをつかむ」という積極的な主体性をしっかりと持っていただきたい。
2.なぜ歴史を学ぶのか
古来、歴史 を忘れた国民は滅びると言われてきた。歴史を学ばないと、精神が骨抜きになる。歴史は、人間の本質を学ぶための最高の教材である。歴史について無知である と、現在起きていることの意味が分からない。現在起きていることの意味が分からないと、未来が読めない。結局、「今が良ければいい。自分さえ良ければい い」といった偏狭な考え方に陥ってしまう。歴史の学びは、志を学ぶ第一歩である。「坂の上の雲」の時代に生きた日本人は、近代において最も志が高かったと 言われている。その時代を学ぶことは、歴史の重要テーマである。
3.なぜ掃除と食事作りか
人間、身の回りを整え、命に良い食べ物をバランス良く食べている限り、「まともな人生」が送れる。この二つが、人間の゛底力゛であり、生きる上での゛根っこ゛である。