出発式

上甲 晃/ 2002年09月07日/ デイリーメッセージ

山梨県の未来をになう人材を育成したいとの思いから始められた『夢甲斐塾』は、設立してようやく一年を迎えた。そこで、一年の締めくくりとして、塾設立の発案者である天野知事を迎えて、清里で、出発式が行われた。会場は、清里開拓の父とも言うべきポールラッシュ博士の記念館である。

出発式は、塾生諸君の手によって準備され、運営された。まず、新しく旗揚げする゛夢甲斐ネット゛の趣旨と内容の説明である。山梨県の事業としてスタートした『夢甲斐塾』は、一年間の研修年限と決められている。しかし、一年間共に学んだぐらいでは、山梨県のために事を起こすところまではなかなかいかない。せいぜい、「塾生同士、お互い仲良くなりました」といったレベルまで到達するのがやっとだ。そこで私は、一年間の研修を終えた後、山梨県のために事を起こす地域ネットワークとして、゛夢甲斐ネット゛を立ち上げるように仕掛けた。

「事を起こすためには、お互いに気心がわかり、心通じ合うことが必要である。気心がわかり、心が通い合うと、人は何か事を起こしたくなるものである。過去の一年間は、その意味で、事を起こしていく゛心の温度゛を高めていく時間であったとも言える。時、ついに到来。これからは、塾生諸君が、自主的な地域ネットを立ち上げて、山梨のために事を起こしていこうではないか」と、私は呼びかけた。

この一年間、私は、私と塾生、そして塾生同士が気心通じ、心を通い合わせることに一番心を砕いてきた。私のような゛よそ者゛が塾長に任命されて、いささかの戸惑いもあったことは事実である。まして山梨県は、地域の中にいる人たち同士は結束力が強いが、その分、排他的であると聞いていた。私が塾生諸君と心通じ合わないと、何も始まらない。心通じ合わせるためにいつも私が心がけることは、「共にある」ことだ。松下政経塾時代も、『青年塾』でも、「共にある」ことを心がけてきた。共に過ごす時間が短いと、やはり心は通わない。可能な限り、共に過ごす時間を長くすることは、心通い合わせる第一歩。雑魚寝もした。すべての研修は、最初から最後まで参加した。

出発式で、塾生の一人一人が、一年を振り返って感想を述べた時、私は、彼らとの心の通い合いを実感できた。「共にある」努力は報われたようだ。心が通い合うと、きっと、何か事を起こしたいとの意欲が高まってくると信じる。天野知事もまた、塾生諸君の発表を聞きながら、確かな手ごたえを感じ取ったようだ。

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