『青年塾』諸君への手紙

上甲 晃/ 2006年12月05日/ デイリーメッセージ

クラス別の研修も、第三回目に入りました。北クラスと東クラスは、既に第三回目の研修も終えました。そしてこれから、東海クラス、関西クラス、西 クラスを、三週連続で開催します。三回目のクラス別研修が終わると、いよいよ、一月に開催する松山講座、二月に開催するクラス別自主講座を経て、三月九日 からの出発式へと向かいます。゛第三期生の研修も、日程的には、いよいよ最終盤に入っていきます。しかし、エネルギー的には、これからが本番とも言えるで しょう。いっそう、本腰を入れていただかなければならない時がきたようです。
クラス別に現状を見ると、非常に雰囲気が盛り上がっているところも あれば、いささか先行きの運営に不安感が伝えられるところもあります。しかし、私はあまり心配していません。すべてのクラスを最高の状態で仕上げるのは、 私の責任です。これから、諸君とともに、「最高の青年塾」、「十期が最高」と胸の張れる仕上げをしていきましょう。゛終わり良ければ、すべて良し゛です。
一人一人の心に、゛志の樹゛を根付かせたい
そのためには、何よりも、みん なの『志』が問われます。諸君の心の中にしっかりと、『志の樹』が育ってくれば、どのクラスも最高の状態で仕上げられるはずです。もし、何らかの事情で、 クラスの運営がギクシャクするとすれば、塾生諸君の『志の樹』が、成長不良になっているからです。
先日、東クラスで訪問した山形県長井市。農業 者が、市内五千世帯の台所から出る生ゴミを活用して土作りを進め、その土で有機野菜を生産し、再び台所に戻す運動を展開しています。名づけて、゛レイン ボープラン゛。台所と農家の間に、゛夢の虹橋゛を架けようという、実に壮大な『志』の取り組みです。゛レインボープラン゛の最大の特徴は、行政主導ではな く、農業者から発案されたところにあります。農業者の『志』から生まれた構想であるところが、私がこの構想に惚れ込んでいる理由の一つです。
長井市のレインボープランに学ぶ志
長井市には、志の高い農業者が、何人も います。中でも。つい最近まで、゛レインボープラン゛の会長職にあった菅野芳秀さんは、『青年塾』の講座のたびに塾生諸君に話をしてくれます。その話の内 容に、私は、惚れ込んでいます。何よりも、言葉使いが良いのです。こんな風な言葉遣いのできる人は、よほど哲学的な思考ができる証拠であります。
言葉の裏に潜む哲学的思考に、私は、ぞっこん惚れ込んでいると言うべきかもし れません。
「食糧の危機は、国家の危機」と、菅野さんは言います。食糧飢饉を本気で心配しているのです。゛飽食日本゛の中で、食糧飢饉を心配す る人など、まれです。「日本人は、北朝鮮の食糧飢饉を気の毒に思うかもしれないが、食糧自給率は七八パーセント。それに対して日本は、穀物で二七パーセン ト、カロリーベースで四〇パーセント、北朝鮮のことを云々している場合ではない。日本の農業は、回復不能。もはや戻ることのできない危機にある」と、現状 の深刻さを訴えます。
「嘆き節からは何も生まれない」
「しかし」と、菅野さんの持論が始まり ます。「嘆き節からは、何も生まれません。与えられた条件の中で、常に最善を尽くすことが大切です」と切り出して、熟した柿にたとえます。「熟した柿はや がて朽ちて滅びます。しかし、朽ちた柿の実の中には、ちゃんと種があり、未来への可能性を秘めています。危機の中にも、可能性がいつも秘められているので す」と言います。うまい言い回しに、私は、思わず引き込まれました。このあたりが、菅野さんの話の実に魅力的なくだりです。
私が、ぜひとも塾生諸君に伝えたいと思ったのは、次の一言。この言葉をぜひとも心に刻んで、これからの各クラスの仕上げに取り掛かっていただきたいと思います。
「批判と反対からは、基本的に、何も生まれてきません。批判と反対は、仲間の心を、離れ離れにする心の冷たさを持っています。仲間を肯定し、相手を肯定す るところから、プラスのエネルギーが沸いてきます。どんな時でも、対案と建設的意見を持って参加すれば、そこに希望が生まれ、足し算の論理が成り立つ。あ なたはすばらしいと認められた時、人は、私は認められている、私は必要とされていると感じられるのです」。まさに、『青年塾』で、私がいつも求め続けてい る姿です。
「人の批判をするな。゛せめて私が゛の心構えだ」
「人のことを言う な。そのように思うのならば、せめて私は、先頭に立ってみんなのために力を尽くそう」。『青年塾』塾生の基本的な心構えです。もしも諸君がそのような心構 えで人生を送ることができたら、既に諸君は、゛人間一流゛の道に入り、幸せな人生を手に入れることができること間違いなしです。私達は、人を批判できるほ ど、立派ではないのです。「人に求める前に、自らを正す」のです。
組織の中で、「誰が悪い、彼が悪い」などと、厳しい批判をしている人の言葉を 聞くにつけ、私は、「そんな風に人の批判をしているあなたが、組織に悪い風を吹かせている張本人」と、厳しく問いかけたい気持ちになります。仲間を肯定し 合う風土は、青年塾の目指すべき、一番の特徴です。ぜひとも、そのことを心がけて、山場を乗り切ってください。

『青年塾』塾長 上甲 晃

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