10年を記念して
そのままサラり-マン生活を続けていたら、今年の10月31日をもって、定年退職の日を迎える。時々、サラり-マンを続けていたら、今頃、どんな生活をしているのだろうかと思ってみたりする。定年までの日数を指折り数えているかもしれない。あるいは、青息吐息でどうにかゴールにたどり着けることに、安堵しているかもしれない。
最近、松下電器は、新しい社長の下で大胆な改革が進められようとしている。大胆な改革のときに、一番身の置き場に困るのが、定年間近の人たちだ。改革の中核になどとてもおけない。新しい組織図を書いても、そこに役割をあてはめることもできない。静かに、粛々と、お引き取り願うしかない。そんな場に立ち合うのも、なかなか厳しい人生修行である。
私は、零細・家内・手作業経営者である。それでも、一応は、経営者。「可能な限り、現役として生きる」ことが、私のこれからの夢の一つである。そして、さらにその夢にささやかなぜいたくを加えるならば、「自分の儲けやぜいたくのためではなく、はんのわずかであっても、世の中に意味のある時間をもちたい」と願っている。
私の生きる原理原則は、「志高く」。表現を言い換えれば、「おのれの損得を越えて、少しでも大きな損得の考えられる人間になる」こと。そして、願わくば、そうした思いを同じくする人たちと手をつないでいきたいと思う。『志ネットワーク』は、そういう私の思いを具体化した活動である。それは、「自分さえ良ければいい」、そんな狭量な考え方を克服して、「みんなが良くならなければ、自分も良くなれない」と本気で思い、「みんなが良くなることに本気になれる人」をめざす運動である。
『志ネットワーク』活動がスタートして、ちょうど満10年目を迎える。最初の全国会議は、17人の参加者であった。神奈川県茅ヶ崎市の湘南海岸にある松下政経塾を会場にして、初めてささやかな会合をもったときには、とても「全国会議」とはおこがましくて言えなかった。だから、この10年間、「全国会義」と称して、会合を重ねてきた。
その大会も、今年は10年目。3月10日~11日、神奈川県の箱根町芦の湖キャンプ村で、記念の大会を計画している。200人を越える会貞諸氏には可能なかぎり、参加していただきたいと思っている。そして、できれば、家族連れで。外部からの講師は招かない。会員同士が、自らの足場において、どのように志をもち、その具体化に努めてきたかを発表し合うのが、中心の内容。また、松下政経塾卒業生の衆我院議員や首長諸氏にも参加してもらい、「21世妃の日本の針路」を共に考え合いたい。