いい会社をつくろう

上甲 晃/ 2001年09月11日/ デイリーメッセージ

今どき、うれしい会社があったものだ。リストラブームで、人減らしの物騒な話が闊歩している昨今、「家族主義」を標榜してはばからない会社があるのだ。今週の『青年塾』東晦クラスは、長野県伊那市で講座を開催した。初日は、同市に本社や主要工場を展開している、寒天の専門メーカーである伊那食品工業株式会社を事例研究させていだだいた。社長の塚越寛さんが、塾生諸君に熱く語ってくれた。バブルのころには当たり前であった話が、今聞くと、大変に新鮮に聞こえるし、真実味を感じ取れる。

「いい会社をつくろうと言うのが、当社の社是です。いい会社というのは、誰から見ても、そんな前提があると思ってください。お客様だけではありません。社員はもちろん、お取引先、出入りの業者さん、さらには取引の銀行や税務署も含まれます。税務署から見ていい会社とは、税金をきちんと正しく払ってくれる会社でしよう。地域の人たちも、町の中でいい会社だとうわさしてくれる。そんな姿を願っています」塚越社長は、まず、社是の意味するところから解説してくれた。

日本の企業には、人員削減の嵐が吹き荒れている。そんな会社を、社員はいい会社と思えるのだろうか。安い人件費を求めて、下請けを買い叩く、そんな会社を下請け業者さんはいい会社と思えるだろうか。「いやな会社」がドンドン増えているから、いっそう、いい会社づくりという言葉が耳に心地よい。塚越社長の言葉に耳を傾けた。「会社の目的は、利益をあげることだと思っている経営者が多い。利益はあくまでも手段にしか過ぎない。会社の目的は、みんなでいい会社を作ることである」と。利益至上の時代、「利益は手段に過ぎない」と言い切るところがすごいではないか。ちなみに、伊那食品工業は、ここ30年間、売上が前年に比べて下がったことはない。利益は、ここ15年間、7%を下回ったことはないというのだから、塚越社長の言葉は、真実味を増す。

塚越社長の持論は、「進歩とトレンドを混同してはいけない。進歩とは、それが本当に社会にとって有用であるかどうか、社会のためになるのかどうかが判断基準である。時代の流れの中でも、社会のためにならない流行物が多すぎる」と言う。私は、心からかっさいを送った。世の中、時代の流れに後れまいとする経営者が多すぎる。時代の流れよりも、真実、真理に基づく経営を求めるべきときだ。私の最近の持論を現実にしてくれている会社の存在そのものがうれしい。

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