「日本 この手で何とかする」私の思い
料理研究家 辰巳芳子さん
大豆百粒運動を御存知ですか。私は運動家ではない。
学童に手のひら一杯の豆。それがだいたい百粒なのですが、それを子供達に蒔いてもらおう。私は親の代から食に関わってきた。
なぜ食べなくてはならないのか?それが根源で明確にしておかないと何をやるにもブレてしまう。
BSEの時に福岡先生が「シェンハイマーの学説」を紹介した。その学説は1937年のもの。福岡先生も「命とは何か」の疑問を小さい頃から持ち続けていた。
「食べてエネルギーにするのではない。古い細胞と新しい細胞か入れ替わって刷新するために、食べ続けなくてはならない。」
ではどう食べるのか?
「風土に即して、生命を食べる」その道理に合わせること。
日本の食品は何かおかしい。その道理に合っていない。良い食材を使う会、日本の食材を守る会を作った。素晴らしく多くの食の情報を持つメンバーが集まった。私はその会で「ありがとう」「すいません」しか言ったことが無い。
しかしながらこの国の実態はまったく変わらない。そこで大豆百粒運動を始めた。
大人に蒔いて貰おうとすると必ず圧力がかかる。それなら子供、学童に蒔いて貰う。そして学校から学校へ広がっていく。そして子供達に広がってしまえば、もうどうにもならない。運動を初めて5年。蒔いてくれたのが5,000人。たくさん収穫してくれる子もそうでない子もいるが平均3粒以上で、合計の収穫量の豆が7.5トンになった。
単に蒔くだけでなく、子供に観察させ、記録させる。子供たちの内発力が飛躍的に伸びた。自ら考える力が育つ。
1回蒔いた子供は、卒業するまで続けて蒔かせてくれと頼んだ。小さい時に味わった多くの気付きがどれだけ大きなものになるか。
上甲さんは私の考えに共感してくださり、いろいろな形で活動してくれるようになった。
大人で実際にたくさん大豆を作ってくれる人も出てきた。無農薬であったり、除草剤のみであったりして作る人が出てきた。そうなると私は豆腐屋さんとつなぐ。地大豆で豆腐を作るようになると、できた大豆をすべて買ってくれる。その時大切なのは私心を持たないこと。そういうつながりどんどん生まれてくると枠が広がってくる。
最後に志についてお話したい。日本でもっとも清らかなる心で暮らしている方々は皇室だと思う。皇后様に会いたいと言われお会いした。
部屋は寒かったのでひざ掛けを貸してくれ、ご自分もひざ掛けを使っていた。空調の温度は20度になっていた。「寒ければ着ればいいのよ。」と皇后様は言われた。
廊下の電灯はすべて消されていて、一切無駄使いをされていなかった。皇后様の手は働く者の手でした。皇后様は蚕を飼い絹を作っている。天皇陛下は田植えをして米を作っている。皇室は祈り続けるのが仕事と皇后様は言われた。皇室には私心がない。
志とは私心が無いこと。政治家にも私心無くやっていただきたい。
(このレポートは青年塾3期生大久保守晃さん作成です)
262009年03月
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