『青年塾』塾生諸君への手紙
いよいよ、クラス別の本格的な研修がスタートします。諸君にとっては、初めての経験だけに不安感も強いことでしょう。私もまた、八年目とは言え、初めてのような緊張感を感じています。この一年を、生涯でもっとも忘れられない思い出に満ち満ちたものに、仕立て上げましょう。
改めて、『青年塾』の根本目的を確認してください
最初にみなさんにお願いしておきたいことがあります。それは、『青年塾』の根本の精神に関することであります。既に何度も強調しているように、『青年塾』は諸君の人間としての゛根っこ゛を良くしていくことを目的とした学びの場であります。偉そうな言い方をするならば、「人間としての一流を目指して切磋琢磨する場」であります。
「人間としての一流とは何か?」。その問いかけに対して、私は、「自分のことしか考えられない人は人間三流。どんな時でも、人のためを考え、行動できる人は、人間一流」ととらえています。だから諸君には、「己の損得計算を超えて、回りを含めた大きな損得計算の上に立ち、行動できる人になってほしい」と願っています。すべての研修は、その目的に即して行っていきます。
「何をしたいか」ではなく「みんなのために何ができるか」
まず、第一回目のクラス研修に当たり、合言葉は、「みんなのために惜しげもなく自らの力を差し出してください」ということです。「自分が何をしたいか」ではなく、「自分がみんなのために何ができるか」を考えてください。「みんなきわめて意欲的で、あれをしたい、これをしたいと活発な意見がたくさん出ています」と、現状を聞かせてくれたクラス世話人もいます。それぞれの人たちが様々な期待と希望、提案や意見を持っていることは、諸君の関心の表れであり、それはそれでうれしいことであります。
しかし、私の求めているのは、みなさんの個人的な希望ではありません。何よりもまず、私が諸君に望むことは、「自分が何をしたいか」ではなく、「みんなのために私は何ができるか」を考えていただくことです。
例えば、食事作りをする場合、誰かが食材の買出しに行かなければなりません。もし諸君に少しでも時間的余裕があれば、「私も買出しを手伝いますよ」と進んで手を挙げてほしいのです。また、集合時間よりも少し早く行けるのであるなら、「何かお手伝いしますよ」と言って、早い目に出かけられる人になってほしいのです。
望ましい姿は、「みんながそれぞれに自分の希望を持つことではなく、みんながそれぞれに何かお役に立ちたいと、次々に申し出てもらっているのでうれしい悲鳴です」との声が聞こえてくることです。
゛高邁なる精神風土゛を諸君の手でいっそう充実させて
幸いにも、『青年塾』には、良き伝統が培われつつあります。それは、『青年塾』に参加した人たちが、惜しげもなくみんなのために力を発揮する風土であります。私に言わせれば、『高邁なる精神』風土、『高貴な精神風土』が伝統として培われつつあるのです。
この風土を大事にしたいだけではありません。諸君の手によって、さらにすばらしいものに発展させてほしいのです。もし、すばらしい風土か諸君の手によってさらに磨きがかかるならば、近い将来、『青年塾』は、特別な研修を何もしなくても、ただ入っただけで人が生まれ変わるような場になっていくことでしょう。それが私の理想であります。
諸君が人間として成長する道は、「みんなを良くしようと働きかけること」です。自分を本当に良くしたいと願うならば、まず周りを良くすることです。例えば、会社に勤務しているならば、職場を良くしようと働きかけるあなたの努力が、あなた自身を良くするのです。地域なら、地域を良くしようと働きかける努力が、結果的には、地域以上におなた自身を良くしてくれるのです。そのことを肝に銘じておいてください。
共に苦労することこそ、心の絆を結ぶ
関西クラスでは、最初の研修で、「みんなの心の絆をしっかりと結び合いたい」というテーマを決めたようです。毎回、テーマを持って研修に望むことは、まとこに好ましいことです。また、ぜひとも、クラスの仲間同士が心の絆を強く結び合ってほしいと願います。
そのためには、話し合いの時間を増やしたり、一杯飲んで交流するよりも、まず一つの目標に向かって、『共に汗を流すこと』です。絆はどのような時に結ばれるのか。私の答えは、はっきりとしています。「高い目標に向かって一緒に苦労した時」です。だから、いたずらな議論ばかりせずに、まず、みんなが共に力を出し合ってください。仮に酒を一滴も飲まなくても、共に苦労すれば、心は必ず通じ合います。それは、『青年塾』七年の実績が何よりも端的に証明しています。
諸君と共に過ごせる時間を楽しみにしています。まず、欠席しないように努力してください。全員が顔を合わせるところから、始まりです。
志ネットワーク『青年塾』 代表 上甲 晃