箱根会議レポート3(各地の実践報告 1)

上甲 晃/ 2009年03月21日/ 日本志民会議

『農業と台所の架け橋』
レインボープラン会長 管野芳秀さん
レインボープラン会長 管野芳秀さん
26歳から農業を始めた。2.6ヘクタール。ちっぽけな農地で百姓をしている。長井市は豊かな水田に囲まれた小さな町。農家の平均年齢は67歳。70から74歳までの間に圧倒的に多い。あと10年したらどうなるか?このままでは間違いなく立ち行かなくなる。
一俵1万5000円で農協が買ってくれたのが1万2000円台になった。農林省の試算では、米農家の時給は173円。これでは誰も継がない。なるべくコストのかからない米作り、作物作り。それが海外の安い農産物と競争させられて重要だと言われてきた。
その結果どうなったか?野菜に含まれる栄養価はどんどん少なくなっている。そんなものばかり食べているから、子供はキレるようになったのではないか。集中力がなくなったのではないのか。
レインボープランとは長井市が町ぐるみで取り組んでいる活動。長井市は人口3万人。5000世帯人たちの生ゴミを集めて堆肥を作る。その有機堆肥を田畑に投入し、栄養素ミネラル豊富な米野菜を作り、みんなで食べるという運動。吹けば飛ぶような2、3の市民から始まり口コミで広がり、それに行政が加わり、農協も加わり、堆肥センターができて、町ぐるみで動き出した。
3000人の子供たちに提供される給食は100%米食で、レインボープランで作られた米。レインボープランが始まって10年。自分たちの町が誇りだという市民が増えている。生ゴミを接着剤にして市民が一緒になって取り組んできたレインボープラン。
立派な論文を書いても、人々はなかなか本を読んでくれない。小さくてもいいから実際に行動を起す。地域で実践する。その実践を見てもらう。小さな地域の実践こそが、人々に大切なものは何かを伝え、国を変えていく力になるのではないか。そしてアジアにまで発信できるのではないか。
でも現実は、農村からはため息しか聞こえない。農業は風前の灯。豪州と農業の二国間協定を結べば、さらに自給率は12%下がると農水省は試算する。私たちは地域の実践こそが国を変えると活動してきたが、やはり見識ある政治家の登場が求められている。
(このレポートは青年塾3期生大久保守晃さん作成です)

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