リッツ・カールトンの人気

上甲 晃/ 2006年06月14日/ デイリーメッセージ

十年前、大阪駅のそばにリッツ・カールトン・ホテルが開業した時、「ヨーロッパスタイルのいいホテルが出来たな」といった程度にしか受け止めていなかっ た。知人の中には、「迷路のようなホテルだ」と言う人もいた。確かに、フロントの位置やエレベーターの位置がなかなかわからない。廊下もまっすぐになって いないので、部屋を出てから、しばしば面食らうこともある。そんな変なホテル(?)に関心を持ったのは、日経ビジネス誌で、「サービス日本一」として取り 上げられた時からである。とりわけ、ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社の支社長である高野 登さんと知り合って以来、その魅力にすっかり取り付かれ るようになってきた。
高野さんは、私よりも一回り下の巳年生まれ。初めて北九州で出会った時、その紳士ぶりが気に入り、話が大いに弾んだ。わず かな回数しか会っていないのに、゛魂の共鳴・共感゛が起きて、何十年来の友人のように親しくお付き合いを始めた。『リッツ・カールトン・ホテルのサービス に学ぶ勉強会』は、そんな出会いの経過から生まれたものである。
それにしても、リッツ・カールトン・ホテルの人気振りには驚いた。最初の計画段 階で、私は、何とか五十人には集まってほしいと思った。ところが、呼びかけ始めると同時に、次から次へと申し込みが相次いで、あっという間に五十人を越え た。あわてて、会場をさらに大きな部屋に変更して、定員百十人までの研修室を押さえた。その定員も、とうとう満員になり、大盛況の勉強会になった。それほ ど、リッツ・カールトン・ホテルの人気は高かった。私はまずそれに驚いた。
夕食会は、予算一万五千円。「立食は嫌。きちんと座って食事をする方 式」と、私が強く要望した。食事会の会場は、ドアーを開けた途端、驚くほど豪華に、そして華やかに設営されていた。照明の具合も、ムードを盛り上げてくれ る。椅子はすべて白いカバーが掛けられて、快適だ。勉強会参加者を対象に、希望者を募集したところ、ほぼ半分の五十四人が参加、豪華な夕食会を堪能した。 アルコールはフリー、食事は大変においしいと、参加者の間で、大好評だった。
宿泊希望者は、食事会参加者のほぼ半分。宿泊代金となると、ぐんと 高くなる。大阪のホテルの中では、最高級ホテルの中でも、さらに一ランク高い。それでも、この機会にどうしても泊まりたいと、たくさんの方々が申し出られ た。それにしても、リッツ・カールトン・ホテルの人気と、゛ラグジュアリー(豪華な豊かさ)゛を求める社会風潮の高まりを、改めて教えられる気がした。日 本は、どうやら成熟化の方向に向かいつつあるようだ。

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