車が、京都府宮津市・天橋立の付け根にある智恩寺の門前に着いた。ここは、日本三景の一つである天橋立の入り口だけあって、門前には、旅館やおみやげ物が軒を連ねている。この日に泊まる予定だと案内された宿は、通りから少しばかり玄関が引き下がっている分、車の中からは、中の様子があまり良く見えない。私には、全国各地の門前町によくある、何の変哲もない宿にしか見えなかった。
「チェックインは、この宿ではなく、近くの喫茶店で行います」と、案内してくれた株式会社飯尾醸造の社長である飯尾 毅さんが、車を智恩寺のすぐ前にある喫茶店の前に止めた。言われるままに、私達夫婦は、喫茶店に足を運んだ。そして入り口を入った瞬間、その店のすばらしい感性に魅了されてしまった。古木をうまく使った、実にセンスのいい空間が広がっている。何よりも魅力は、みごとな松並木が続く天橋立の洲と向かい合わせに、運河のように目の前に海があることだ。喫茶店は、゛カッフェ・デュ・パンと名づけられている。名前そのままに、内部はゴージャスな雰囲気に満ちている。豪華な椅子に座り、たちまち豊かな気分になる。コーヒーが運ばれてきて、気持ちがさらに和らぐ。
店で働く人達の服装と接客の態度が、高級感をいっそう高めてくれる。軽妙な会話、行き届いたサービス、物腰の柔らかな態度。わずかな時間しか経っていないのに、すっかり打ち解けてしまう。
「お泊りのお部屋に案内します」と、若い女性の従業員が声を掛けてくれる。店をいったん出て、門前の通りのほぼ真ん中にある宿まで歩く。そして、最初は何の変哲もない宿と見えた旅館に入る。゛ワインとお宿・千歳」とある。もともとは古びた旅館だったはずの建物が、みごとに蘇り、高級感をかもし出している。一階のレストランとワインセラーを見ただけで、経営者の感性の高さがびんびん伝わる。私は、瞬間、この宿にぞっこん惚れ込んでしまった。通りをはさんだ向かいの建物にも、同じ「千歳」の部屋がある。一階はお蕎麦屋さん。そしてその上が、二万本のワインの一部を収納しているセラーや客室になっている。
魅力ある男が一人いたら、地域全体が魅力的なものになる。山崎浩孝さん、四十五歳。ワイン好きが高じて、北海道小樽で十年以上ワイン作りを学び、今、自らワイナリーを持ち、天橋立ワインをぶどうから作っている。ワインを通じてフランスをはじめヨーロッパに幅広い人脈を持つ山崎さん。その魅力に、日本はおろか、世界中が注目している。山崎さんが注目されると、天橋立も引き立つ。地域は、人によって救われる。
252005年11月
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