夢甲斐塾の諸君へ

上甲 晃/ 2004年05月25日/ デイリーメッセージ

「二十一世紀の山梨県を担って立つにふさわしい人を育てたい」、そんな熱い思いを最初に持ったのは、前の山梨県知事である天野さんでした。そして、なぜか山梨とはまったく縁の無かった私に白羽の矢が当たり、塾長を委嘱されました。おかげで、私は、諸君と出会うことができました。改めて、人の縁の不思議さを思うと共に、諸君と出会えたことを何よりもありがたく思っています。

さて既に諸君が承知していただいているように、『夢甲斐塾』は、この四月以降、県の事業から、私達自身の事業に変わりました。新しい知事の方針により、『夢甲斐塾』は、三月末をもって県の事業としては幕を閉じました。しかし、私は、「人を育てることは、三年程度の短期間で終わるものではない」との思いから、私達自らの手で継続することを諸君に訴えてまいりました。幸い、諸君は、私の思いに賛意を表していただき、四月から、『夢甲斐塾』は新しいスタートを切りました。

私は、いたずらに行政に依存することなく、必要なことは自らの手で事を進めていくこと自体、二十一世紀にふさわしい発想であり、ある意味では画期的であると確信しています。これからは゛自立の時代゛です。『夢甲斐塾』は、゛自立の道を歩む゛決心をしたのであります。『夢甲斐塾』は、県が予算を出すから動くのではなく、私達一人一人に熱い思いがあるから動くのです。自立は、容易ではありません。しかし、自立こそが、生きる誇りであり、自己実現の道であります。

さて、多くの諸君が、それぞれに善意を持ってスタートしたのではありますが、五月十八日に富士吉田で開催した三期生諸君の研修に参加した時、新しい『夢甲斐塾』が「生みの苦しみ」に遭遇していることを知りました。みんなが良かれと思って取り組んでいることが、かみ合っていないもどかしさを感じて、それぞれに苦しんでいるようでありました。

私は、三期生の諸君から、実情の問題点などを聞き、現状を把握していて、一つ気付いたことがあります。それは、新しい『夢甲斐塾』の理念、原点、志が不明確であることです。「何をするために、『夢甲斐塾』は存在するのか」、その一番肝心のところが不明確なために、いささか内部が混乱しているのだと判断しました。

例えて言えば、「豊かな自然を満喫しに行こう」という思いを共有する人たちが、幹事の呼びかけに応じて、決められた時間に甲府駅に集まりました。ところが、具体的にはどこへ行くのかを決めていなかったために、ある人は下り列車に乗り、ある人は上り列車に乗り、ある人はバスに乗り、ある人は歩くことを考えている。今の『夢甲斐塾』は、そんな状態に陥っているように思えました。これでは、時間が経てば経つほど、お互いの距離は広がる一方です。そこには溝もできるでしょう。溝は時間と共に、広がり、深くなるばかりです。また、違う方向に向かう人たちに対する批判も聞こえてくるでしょう。思いを同じくした人たちが、せっかく集まっていながら、お互いの溝が深くなることは、まことに残念です。

諸君、七月の第四期生を迎えるまでに、期生を越えて一丸となり、「『夢甲斐塾』は何を根本の思いとして、具体的に何をするのか」を決めようではありませんか。それこそが、私達がなぜ自らの手で『夢甲斐塾』を継続しようとしているのかの証(あかし)でもあります。根本の理念をしっかりと決めてしまえば、後はそれに照らして考えていけばいいのです。根本の理念が明確でないと、ともすれば批判が人に向かいます。その意味からも、『夢甲斐塾』の理念明確化と具体的な活動方針策定を、ぜひともみんなの力で進めていこうではありませんか。

最近私は、「自分を良くしたいと思ったら、まず、周りを良くする努力をしろ」と言い続けています。「他人はともかく、自分のしたいことをしたい」というのは、いかにも個性を尊重しているようですが、それはわがままの裏返しであります。「自分をより良くしたいと思ったら、他人のために献身的に努力すること」です。「他人のために献身的に働くこと」が損なことだと考えるのは間違いです。それが、自分を良くしていく唯一の道です。

『夢甲斐塾』をより良くしようと努力することこそが、諸君を人間的に成長させます。「自分は、『夢甲斐塾』で何をしたいかではなく、『夢甲斐塾』をより良くするために、自分に何ができるか」を常に考えてください。それがきっと、諸君の人間性を高めていくことでありましょう。

最後に一つお願いしたいこと、みんなの゛絆゛は話し合いだけでは結べないということです。本当の゛絆゛は、「高い理想の実現を目指して、共に苦労する」ことによってのみ結ばれるのです。話し合いばかりしていると、堂々巡りしたり、批判や愚痴に終始したり、違いや溝を深めるばかりといった傾向があります。

必要な話し合いは最低限にして、同じ目標に向かって、みんなで汗を流し、苦労することこそ、『夢甲斐塾』の塾生間の゛絆゛をしっかりと結んでくれることでしょう。まずは、理念作りに、みんなで前向きの汗を流し、苦労しようではありませんか。みんなの満足できる理念が完成した時に、期生を越えた心の絆がきっと結ばれることと信じて歩んでください。

平成16年5月25日

『21世紀夢甲斐塾』   塾長  上甲 晃

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梅干の話

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和歌山県南部(みなべ)は、梅の名産地である。薄い皮と部厚い肉は、゛南高梅゛として、その名を全国にとどろかせている。全国の

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